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ブラック・マンデー
Black Monday   No.20
Since 2002/Aug./01
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 9%を超えてからの金利上昇のスピードが速い。

 俺は怖くなって積極的にはオファー(Offer)しなくなった。

 それまでは、毎朝、会社に来てから、ロンドン市場の様子を調べて、すぐにオファー(Offer)を出していたのだが、何もせずにブローカーが伝えてくるマーケット・プライスを聞くだけにしていた。

 すると、ほんの数日でナイン・アンド・クウォーター(9and1/4、9.25%)がビッド(Bid)になってしまった。



 うちが1/16%毎に500本オファーしていたのが、急になくなった影響も少しはあるようだ。

 もちろん、マーケットは巨大だし、たかだか、一市場参加者がオファーしようが、しまいが本質的には何ら変わらない。

 多くの市場参加者が、まだ、金利が上昇しそうだとみて積極的に資金を『取る』側にまわった。これまでは、常にあった500本づつのうちのオファーがないものだから、需給からちょっと跳ね上がったように思えるだけだ。



 オファーが薄いものだから、市場レートは「クウォーター・トゥ・ハーフ(9and1/4 to 1/2%)」になり、あせったディーラーが9.5%を『取った』。

 『出会って』しまえば、それがマーケットになってしまう。

 今日のニューヨーク市場は、9.25%から9.5%まで急上昇したことになる。薄いマーケット『出会い』が少なくても、『出会ってしまえば』それがマーケットなのだ。



 9%を超えてから、俺はあまり『出して』いない。

 『出さなくて』良かった、少なくとも「負け」をセーブしている、そう思った。

 もう、『評価損』なんて計算したくもない。




 田辺課長に報告しなくちゃと思ってさがしたが、今日もコンピューター・システム開発のプロジェクトで外出している。

 大手米銀のディーリング・サポート・システムを見学しに行っているのだそうだ。

 夕方まで田辺課長が帰ってくるのを待っていたのだが、なかなか戻って来ない。

 5時を過ぎてから、田辺課長から電話があった。

 「マット! テレフォン! フロム・ミスター・タナービィ!」
 (Matt! Telephone! From Mr.Tanabe!)

 「オーケー!」
 (OK!)



 「ああ、梅田?」

 「はい。 梅田です。」

 「まだ、時間がかかりそうなんだよ。
 けっこう熱心に説明してくれるもんで、あと1時間くらいはこっちにいることになりそうだ。
 俺、今日は、ここから直帰するからな。」

 「わかりました。
 ワン・イヤー・デポでナイン・アンド・ハーフ(9and1/2%)が出会いました。」

 「そっかぁ・・・・・。 思ったよりも速いなあ・・・・・。」

 「はい・・・・・。」

 「じゃあ、明日、ミーティングやろう。 先に帰っていいぞ。」

 「はい。 わかりました。 お先に失礼します。」




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