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ブラック・マンデー
Black Monday   No.21
Since 2002/Aug./01
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 翌朝もなかなか田辺課長がつかまらない。

 支店長と副支店長とのミーティングに行っている。

 コンピューター・システムを今後どうするのか、といったミーティングだ。

 昨日、田辺課長が見学した大手米銀のシステムの説明・報告にも時間がかかるのだろう。

 田辺課長がディーリング・ルームに戻って来たのは11時近くなってからだった。




 「おい、梅田。 待たせちゃったな。
 でも、もうちょっと待ってくれ。 タバコ吸わしてくれ。」

 「はい。 じゃあ、タバコ吸いながら、お話しましょうか?」

 「ああ、そうするか。」




 ニューヨーク・シティでは、つい最近、条例でオフィスでの喫煙を禁止した。タバコを吸いたければ、スモーキング・ルームに行かなければならない。

 ディーリング・ルームを出た横に、小さな喫煙室を作った。

 「ふー・・・・・。」

 タバコに火をつけて、田辺課長が溜め息をついた。

 「どうした、梅田?」

 俺もタバコに火をつけた。

 「ワン・イヤーがナイン・アンド・ハーフ(9and/2%)まで上がりました。
 『評価損』も膨れ上がっています、が・・・・・。」

 「うん。 そうだろうなぁ・・・・・。」

 「どうしようか、と、思いまして・・・・・。」

 「このところの金利上昇のスピードは速いなぁ。」

 「はぁ・・・・・。」

 「・・・・・。」

 「『出し始めた』ときから、時間が経っていますから、最初に『出した』セブン・アンド・ハーフ(7and/2%)を今日のレートで引きなおす必要はないと思います。
 それから、ワン・イヤーが9%を超えてからは、あまり『出して』いないのでポジションは、あの後、あまり膨らんでいません。
 だから、『評価損』が膨らまないようにセーブしたつもりではいるんですけど・・・・・。
 正確な数字は、きちんと計算しないと出せませんが、ラフに言えば、『評価損』は6000万ドルを超えるくらいになっていると思います。
 毎日の『実現益』を受け取っていますから、単純にやられているわけではないのですが・・・・・。」

 「パー・デイでどれくらいの『実現益』だっけ?」

 「一日あたり、20万ドルは超えると思いますが。」

 「そっか。
 じゃあ、1ヶ月で600万ドルの『実現益』になるな。
 この4〜5ヶ月で2500万ドルくらいは取り返していることになるじゃないか。」

 「理屈では、そうです。
 それでも、トータルで考えれば3000万ドルはやられていることになりますよ。」




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