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フォレックス・ディーラー物語
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Forex Dealer Stories
【H.R.R. ヒストリカル・レート・ロールオーバー】

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Since 2002/July/21
アクセスカウンター hrr001
 2002年7月21日(日)


-----Original Message-----
From: ***
Sent: Friday, May 10, 2002
To: 物語さま
Subject: HRR教えてください

 こんにちは、***です。

 ヒストリカル・レート・ロールオーバーのことで教えていただきたいのですが、この種の延長は確か大手石油会社か何かの巨額損失がらみで、ご当局から禁止令が出たように記憶しているのですが、いまだに禁止なのでしょうか?

 すみません、辻斬りみたいな質問で。


ライン

注:H.R.R =Historical Rate Rollover
(ヒストリカル・レート・ロールオーバー)

 Historical Rate Rollover を直訳するならば、「過去のレートでの書き換え」。

 過去に約定した外国為替取引において、過去に約定したレートを、そのまま使って、期日(バリュー・デート)を延長することがあります。
 これを、ヒストリカル・レート・ロールオーバー(H.R.R.)と呼びます。

 外国為替取引は応答日(バリュー・デート、Value Date)に決済することが原則の取引。
 言い換えれば、外国為替取引はバリュー・デートに、約定したレートで、通貨を交換する契約です。

 応答日が到来する前に、その応答日(決済日)を先に延ばす行為を【延長】、応答日(決済日)を前倒しにすることを【短縮】と言います。

 為替取引は貿易取引をベースとした場合には、商品を受け渡す際に荷船の都合などによって、バリュー・デートを数日、変更する必要が生じます。

 外国証券や外国株式に伴う資本取引の場合には、その証券や株式の受渡日に合わせて、外国為替取引のバリュー・デートを変更する必要が生じます。

 そのように、【延長】や【短縮】は実務上必要ではありますが、あくまでも例外的な取引です。

ライン


-----Original Message-----
From: 物語
Sent: Saturday, May 11, 2002
To: ***
Subject: Re: HRR教えてください


 ***さん

 ご無沙汰しております。

 H.R.R.(ヒストリカル・レート・ロールオーバー)ですが、これは、大昔から(事実上、20〜30年以上の期間)、いつも、トラブルになってきた経緯があります。

 H.R.R.(ヒストリカル・レート・ロールオーバー)は、もともとが、例外的な取引です。

 本来、為替取引は、決済日(Value Date)に、通貨を交換する契約ですから、それを、ロールオーバーすること自体が例外的なのです。

 なおかつ、そのときの、マーケット・レートを使わずに、当初に契約したレート(ヒストリカル・レート)を使用して、延長するのですから、損失の先送りや、利益の操作に利用されることになります。
 こういった取引形態を許している日本の法律が不備といえます。

 H.R.R.(ヒストリカル・レート・ロールオーバー)を行うと、事実上、損失の先送りが簡単にできます。
(逆の、利益の先送りも、簡単にできますが、この10年〜15年程度の場合、問題となったのは『損失の先送り』です)

 含み損の出ている為替取引は、決済しないで、そのままのレートで期間(Due Date)のみを延長します。
 含み益のある為替取引は決済して利益を計上します。

 為替取引は、企業にとって、オフバランス取引ですから、H.R.R.を行った為替取引の含み損は、バランスシートに表れません。

 H.R.R.は、もともとが、例外なのです。
 現在も、原則として禁止なのですが、いまだに、例外として行っていると聞いています。

 外国為替市場で、大きな問題になったのは、「中堅鉄鋼商社」の巨額損失が引鉄だったと思います。
 1990年秋ころか、1991年年初のころだったと記憶しています。

 日本の法律上は、いまだに、あいまいなままなはずです。
 不動産や、株式などの会計基準に簿価主義が残っていますから。
 (すみません。最近、不勉強で、断定できません。法務面で詳しい方に確認してください。)

 すべてを、時価会計にしてしまえば、こういった問題は起こりえません。

 ただ、現状で、すべてを時価会計にしてしまうと、ゼネコンは、その大半が、当然のごとく破綻するでしょうし、大手の金融機関でも事実上の債務超過と見られる先が潰れて混乱になるので、会計基準に手をつけられないのだと思います。

 (あくまでも、個人的な見解ですが、大手の銀行、メガバンクも、中堅の大手銀行は、もちろんのこと、事実上の債務超過先は多いことだろうと推察しています。中小の金融機関は言う必要もありません。
 大手の生保や損保でも債務超過のところは、まだあると考えています。
 オフィシャルには金融庁の検査でクリアーしているのでしょうが、市場には、そんなことを信じているおめでたい参加者はいないでしょう。
 実質は、そして、それを個人的にどう考えているのかは、上述のとおりですが、オフィシャルには、誰も、何も言えません。
 このアン・フェアーな、日本特有の閉塞感・・・。どうも、納得がいかないところです。)


ライン


-----Original Message-----
From: ***
Sent: Saturday, May 11, 2002
To: 物語
Subject: HRRの件でのご回答多謝


 物語さん、HRRについて詳しく教えてくださり、ありがとうございます。特に約定当時の価格をそのまま使うのだからhistoricalと言うのだという点、資料によっては、先送りする期間に応じてoff-market priceで約定しなおすといった記載があり、あれ? などと思っていたものですから、プロのお墨付きを得てほっとしています。

 物語さんのご解説は私のような者でもすっと呑み込むことができ、本当にためになります。早く為替の本を書いてください。

 証券やデリバティブに関しては専門家が結構むずかしいことをやさしく書いている本が増えていますが(最近では、金融科学叢書の「信用リスク商品」に感心しました)、為替関連では知っている限り、Fedが無料で配っている資料を訳して売っている国際通貨研究所の「外国為替市場の最新知識」ぐらいで、これはというのがありません。
 有斐閣の「これならわかる為替」は間抜けなタイトルの割には水準が高いものの、ちと古い感じですし、是非、この空白を埋めてください。



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