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| Since 2002/July/08 |
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リムジンが古いホテルの前に止まった。
運転手さんがドアを開けてくれる。
運転手さんは、俺のスーツ・ケースを車のトランクから出して、ホテルのボーイさんに渡した。
田辺課長が運転手さんに、ホテルの前で待つように頼んでいた。
「よし、梅田。じゃあ行こうか。」
「どこに行くんですか?」
「このホテルだよ・・・・・。
お前はこのホテルに泊まるんだよ・・・・・。
だから、チェック・インしなくちゃ、泊まれないだろ?」
「あっ、そうなんですか。 わかりました。」
回転式の扉を通って、ホテルのロビーに入った。
『結構、立派なホテルだなぁ・・・・・。』
ロビーの天井がものすごく高い。
「じゃあ、梅田、あそこがフロントだからチェック・インしておいで。
俺はここで待ってるから。」
「はい。」
俺はフロントに行った。
フロントで濃紺のジャケットを着た金髪の女性が俺に話し掛けた。
『あれ? ・・・・・?』
なにを言ってるのか全然わからない。
『あれ? 英語だぞ・・・・・?』
よく考えて見ると、日本を出発してから、俺はずうっと日本語しか話していない。
スチュワーデスは日本人だった。
イミグレーションでちょっと英語で聞かれたけど、わからなかったら、先方が俺のパスポートを見て『オーケー!』と言って通してくれた。
田辺課長に迎えに来てもらって、運転手さんも日本人だったから、車の中も日本語だった。
俺はもう一度、フロントの金髪女性を見た。
彼女がまたなにか言った。 やっぱり英語だ・・・・・。
まったく理解できない。
頭に血が昇って、頬が熱くなるのだけがわかる。 俺の頬は赤くなっているだろう。
また、彼女がなにか言った。
『だめだ・・・・・。』
俺は振り返って、田辺課長を見た。
田辺課長は、ぼんやりと高い天井を見上げている。
俺が、田辺課長を見つめているのに気が付いて、
「どうした、梅田?」
と日本語で言った。
俺はフロントの女性に軽く手を挙げて、待ってくれるように頼んだ。
『待ってくれ』という意味が伝わったかどうか不安だったが、どうも、伝わったようだ。
俺は5〜6メートル後ろにいる田辺課長のところへ戻った。
「田辺課長、僕、英語、話せませんでした。」
「・・・・・。」
田辺課長が、あきれた顔をして、
「梅田・・・・・。 さっきお前、英語もがんばるって言ってたじゃないか・・・・・。
最初の練習だよ。 がんばって一人でチェック・インして来いよ。」
「いや、無理です・・・・・。 まったくわかりません。」
「じゃあ、俺がやるのぉ?
俺が泊まるわけじゃないんだけどぉ・・・・・。
うーん・・・・・、しょうがないなぁ。
じゃあ、梅田、付いて来いよ。
サインまでは・・・・・、俺がするわけにはいかないから・・・・・。」
「はい・・・・・。」
さっきの女性に田辺課長が英語で話をしている。
「梅田、ここにローマ字で、名前な・・・・・、住所だな・・・・・。
それから、ここにサインだ。」
俺は田辺課長に言われる通りに、名前や住所をローマ字で書いて、サインをした。
濃紺のジャケットを着た金髪の女性が俺にホテルのルーム・キーをくれた。
また、彼女が英語でなにか言ったのだが、最後の「サンキュー」の一言しかわからなかった。
『・・・・・。 大変なところに来てしまった・・・・・。
俺、だいじょうぶかなぁ・・・・・。』


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| ニューヨーク夜景 |
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何年か経って、考えると、あの時のフロントの女性は、
「メイ・アイ・ヘルプ・ユウ?」
“May I help you
? ”
とか、 |
「ホワット・キャン・アイ・ドゥ・フォー・ユウ?」
“What can I do
for you ? ”
とか、言っていたんだろうなぁと思う。
文章にしてみると、いろいろなことが、思い巡る。
あの時は、こんなことさえできなかったんだなぁ・・・・・。
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