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フォレックス・ディーラー物語
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青春のモニュメント No.17
 この日の4時を回ってからのニューヨーク市場は、まったく動く気配がなくなった。

 ブローカー達のプライスを読む回数は、極端に少なくなった。
 今日の取引が終って、みんな興味を失ったからだ。

 『だいじょうぶそうだ・・・・・。』

 もう、くたくたに疲れていた。

 4時半を過ぎてから、俺の持っている96本は大竹さんに付けることにした。

 大竹さんのポジションは、持ち値が@181.78で1860本ドル・ロングだ。

 俺のポジションは、持ち値が@181.285で96本ドル・ロングだ。

 もちろん、ここまで担ぎ上げたのだから、183.00くらいで大竹さんのポジションに付けても、大竹さんは文句を言わないだろう。

 だけど、それも阿漕(アコギ)なやり方だ。

 183.00で大竹さんに売り付けると、俺のポジションは、スクエアー(Square)になり、1億6464万円の利益になる。


 [(183.00−181.285)× 96,000,000 = +164,640,000 ]


 大竹さんは、さらに183.00で96本買うことになるから、ポジションは、1956本、19億5600万ドルのロングで、そのコストは181.84ということになる。


 [(181.78×1,860,000,000 + 183.00×96,000,000)
               ÷(1,860,000,000+96,000,000)= 181.83987 ]


 アベレージを比べても、[181.78]と[181.84]では、[6銭]しか違わない。


 約20億ドルのポジションになると、[1銭]の違いでも損益に2000万円影響する。
 [1円]の違いならば、20億円だ。

 冷静に考えれば当たり前のことなのだが、そう思うとこのポジションはでかい。

 1億6000万円の利益は欲しいけれど、大竹さんから毟(ムシ)り取ってもしょうがない。
 同じ会社なんだから。大竹さんの首が懸かっていると思えば、諦めも付く。
 かといって、負ける訳にはいかない。

 大竹さんの持ち値@181.78で付けることにした。

 ドル1860本96本の合計1956本、19億5600万ドルを本店年金勘定に181.78で付け替えることを、エイドリアンに伝えた。

 この96本については、もっと高くてもいいはずだと、エイドリアンは主張したが、同じ会社の仲間なんだと説明したら、しぶしぶ従った。

 『うん、エイドリアン、お前が正しいよ。
 俺がお人好しなんだよ。』

 と、心の中で呟いた。

 俺の損益は確定した。


 [(181.78 - 181.285)× 96,000,000 =+47,520,000 ]


 4752万円の勝ちだ。充分だ。少なくとも俺は負けていない。

 こんだけやったんだから、もうちょっと貰ってもよかったのかもしれないが・・・・・。




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